緩和ケアのおすすめ本7選|看護師が苦痛と向き合うために

「痛みを訴える患者さんに、何ができるのかわからない」「つらい気持ちを打ち明けられたとき、どう返せばいいの?」「家族にどう声をかければいいか迷う」——緩和ケアは、がん看護や終末期に限らず、多くの看護師が向き合うテーマです。
この記事では、緩和ケアを学べる本を7冊紹介します。緩和ケアの基本、症状マネジメントと薬、コミュニケーション、看取りまで、自分の立場と悩みに合わせて選べるようにまとめました。
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- 緩和ケアの基本的な考え方と、看護師が学びたいこと
- 緩和ケアの本を選ぶ4つのポイント
- 緩和ケアのおすすめ本7選と比較表
- 一般病棟・緩和ケア病棟・在宅など立場別の選び方
- 本で学んだことを日々のケアに生かすコツ
ゆい緩和ケアは「特別な病棟でするもの」じゃなくて、どこで働いていても必要になる看護だよ。苦痛に気づくことから始めればいいからね。
緩和ケアとは|看護師が知っておきたい基本
緩和ケアは終末期だけのものではない
緩和ケアは、がんの終末期ケアと誤解されることがありますが、病気の早い段階から、治療と並行して行われるものとされています。また、がん以外の心不全、呼吸器疾患、腎不全、神経難病などの患者さんにも必要なケアです。
全人的苦痛(トータルペイン)
緩和ケアでは、患者さんの苦痛を、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛の4つの側面からとらえる考え方がよく用いられます。痛みの訴えの背景に、不安や仕事・家族の心配、生きる意味への問いがあることもあります。
家族も支援の対象
緩和ケアでは、患者さんだけでなく家族も支援の対象です。家族の不安や疲れ、看取りに向けた心の準備に寄り添うことも、看護師の大切な役割です。
緩和ケアで看護師が学びたい4つのテーマ
| テーマ | おもな内容 |
|---|---|
| 症状マネジメント | 痛み、呼吸困難、吐き気、倦怠感、せん妄などの評価とケア |
| 薬の知識 | オピオイドなどの鎮痛薬、副作用への対応、投与経路 |
| コミュニケーション | 悪い知らせの後の関わり、意思決定の支援、つらい気持ちへの応答 |
| 看取りと家族ケア | 最期の時期の変化、家族への説明、グリーフケア |
すべてを一度に学ぶ必要はありません。今いちばん困っているテーマから本を選びましょう。
緩和ケアでよく出会う症状と観察の視点
緩和ケアの本では、症状ごとに評価とケアの方法が解説されています。本を読む前に、よく出会う症状と観察の視点を整理しておきましょう。
- 痛み:部位、強さ、性質、いつ強くなるか、鎮痛薬の効果と副作用
- 呼吸困難:呼吸数や呼吸のしかた、SpO2、不安の強さ、楽な姿勢
- 吐き気・食欲低下:回数やきっかけ、食事や水分の摂取状況、便通
- 倦怠感:日常生活への影響、休息のとり方、本人がしたいこと
- せん妄:意識の変化、時間帯による変動、原因となりうる薬や身体の状態
症状は、本人の訴えと看護師の観察の両方から評価します。本人が「どうなりたいか」を確認しながらケアの目標を決めることが、緩和ケアの大切な視点です。
緩和ケアの本を選ぶ4つのポイント
1. 自分の働く場に合っているか
一般病棟、緩和ケア病棟、在宅など、働く場によって求められる緩和ケアは少しずつ違います。専門家向けの本か、専門家ではない医療者向けの本かも確認しましょう。
2. 症状ごとに整理されているか
臨床では「この症状にどう対応するか」をすばやく確認したい場面が多くあります。症状別に整理された本は、困ったときに開きやすくなります。
3. 根拠(エビデンス)が示されているか
緩和ケアには、経験に頼りがちな場面も多くあります。ケアやコミュニケーションの根拠が示された本は、自信を持って実践する助けになります。
4. 薬の情報が新しいか
鎮痛薬などの薬の情報は更新されることがあります。薬を扱う本は発行年や版を確認し、実際の投与は医師の指示と院内の基準に従いましょう。
ゆいつらい話を打ち明けられたとき、うまい言葉を返せなくても大丈夫。まずは逃げずに聴くことが、緩和ケアの第一歩なんだ。
緩和ケアのおすすめ本7選
1. 緩和ケア はじめの一歩
緩和ケアに必要な知識と技術をわかりやすく解説しつつ、標準的なケアに加えて、専門家ならではの臨床の知恵や知見も紹介した本です。がんでも非がんでも、治療期でも終末期でも、一般病棟でも在宅でも役立つ内容とされています。
場面を問わず使える内容のため、緩和ケアの勉強を始めたい人の最初の1冊に向いています。一般病棟で緩和ケアが必要な患者さんを受け持つことになった人にもおすすめです。治療期から終末期まで幅広く扱っているので、受け持ちの患者さんの状態が変わったときにも読み返せます。
オールカラーで図や表が多く、症状のアセスメントやケアのポイントを視覚的に確認できます。病棟の勉強会で緩和ケアを取り上げるときの資料づくりにも役立ちます。
2. 看護の現場ですぐに役立つ 緩和ケアのキホン
新人看護師に向けて、緩和ケアの精神と基本的なスキルをわかりやすく解説した本です。トータルペイン(全人的苦痛)、薬物治療、非がん疾患の緩和ケア、在宅緩和ケアなどのポイントを学べます。
緩和ケアが「すべての疾患・領域にまたがる基本の医療」であるという視点で書かれています。ページ数が少なめで、緩和ケアの全体像を短時間でつかみたい人に向いています。
非がん疾患の緩和ケアにも触れているため、心不全や呼吸器疾患の患者さんが多い内科病棟で働く人にも参考になります。
3. 緩和ケア 即戦力ノート
緩和ケアの専門家ではないものの、苦痛を抱える患者さんのために緩和ケアを知りたい医療者向けの実用的な入門書です。豊富な図表や処方例、要点を押さえた解説で、日常の臨床ですぐに確認できるようにまとめられています。
緩和ケア情報サイトと連携しており、スマートフォンやタブレットで内容を復習・確認できるとされています。一般病棟で緩和ケアを実践する看護師が手元に置くのに向いた、比較的新しい本です。
4. 緩和ケアエッセンシャルドラッグ 第4版
緩和ケアで使われる必須薬と、症状のアセスメント・マネジメントのノウハウをポケットサイズにまとめた本の改訂第4版です。オピオイドの換算図や、臨床上のポイントをまとめた「Clinical Points」、薬剤の特徴がわかる「Drug Profile」などが掲載されています。
鎮痛薬の種類や副作用への対応を確認したいときに役立ちます。医師の指示の意図を理解し、観察のポイントを押さえるための参考として使いましょう。薬の情報は更新されるため、最新の添付文書や院内の基準もあわせて確認してください。薬全般の本は看護師におすすめの薬の本でも紹介しています。
5. エビデンスからわかる 患者と家族に届く緩和ケア
オピオイドを拒否する患者さんに理由を尋ねる、終末期の患者さんのつじつまの合わない言葉に付き合う、現実とかけ離れた希望も否定せず大切にする——そうした日常のケアを裏づけるエビデンスから、「今、できる緩和ケア」を考える本です。
何気なく行っているケアに意味があることを、根拠とともに確認できます。「これでよかったのかな」と迷いながらケアをしている人の支えになる本です。
6. 緩和ケア・コミュニケーションのエビデンス
「20%効果がある」と「80%効果がない」のように、言い方によって患者さんの判断が変わることがあるなど、臨床で出会うコミュニケーションの不思議を、緩和ケアだけでなく心理学や行動経済学のエビデンスから解説した本です。
説明のしかたや話す姿勢など、ちょっとした工夫で伝わり方が変わることを学べます。意思決定の支援や、治療方針についての説明に関わる看護師に向いています。
緩和ケアに限らず、日常の患者説明にも応用できる内容です。「同じ説明をしているのに、患者さんによって受け止め方が違う」と感じたことがある人は、その理由を考えるヒントが得られます。
7. 1000人の看取りに接した看護師が教える 後悔しない死の迎え方
多くの患者さんの最期に関わってきた看護師が、さまざまな死の迎え方を紹介しながら、本人や家族が後悔を残さない最期の迎え方について説いた本です。医療者向けの専門書ではなく、一般の読者に向けて書かれています。
専門書ではありませんが、看取りの場面で患者さんや家族が何を願うのかを考えるきっかけになります。家族への声かけに悩む看護師や、看取りへの不安がある新人にもおすすめです。
一般の読者向けに書かれているため、患者さんの家族がどのような気持ちで最期の時間を過ごしているのかを、家族の立場から想像する助けにもなります。
緩和ケアの本の比較早見表
| 書名 | テーマ | おすすめの人 |
|---|---|---|
| 緩和ケア はじめの一歩 | 知識と技術の基本 | 緩和ケアを学び始める人 |
| 緩和ケアのキホン | 全体像・トータルペイン | 新人 |
| 緩和ケア 即戦力ノート | 基本的緩和ケアの実用書 | 一般病棟の看護師 |
| 緩和ケアエッセンシャルドラッグ | 薬・症状マネジメント | 薬の知識を確認したい人 |
| 患者と家族に届く緩和ケア | 日常のケアの根拠 | ケアに迷いがある人 |
| 緩和ケア・コミュニケーションのエビデンス | 伝え方・意思決定 | 説明や会話に悩む人 |
| 後悔しない死の迎え方 | 看取り(一般書) | 看取りについて考えたい人 |
立場別・緩和ケアの本の選び方
一般病棟の看護師
「緩和ケア はじめの一歩」や「緩和ケア 即戦力ノート」で、基本的な緩和ケアを学びましょう。症状の評価やケアの基本を押さえておくと、緩和ケアチームへの相談もしやすくなります。
緩和ケア病棟・がん看護に関わる看護師
「緩和ケアエッセンシャルドラッグ」で薬と症状マネジメントを、「患者と家族に届く緩和ケア」でケアの根拠を深めましょう。緩和ケアやがん看護を専門的に学びたい人は、認定看護師の19分野一覧も参考になります。
在宅・施設の看護師
在宅や施設では、家族と一緒に看取りを迎えることも多くなります。「緩和ケアのキホン」の在宅緩和ケアの章や、「後悔しない死の迎え方」で看取りへの向き合い方を考えておくと安心です。
ゆい看取りのあと、気持ちが沈むこともあると思う。それはあなたが患者さんに真剣に向き合っていた証拠だよ。つらいときは、チームの仲間と話してみてね。
本で学んだことを日々のケアに生かすコツ
- 苦痛を数字と言葉で聞く痛みのスケールなどで程度を確認し、どんなときにつらいかを本人の言葉で記録する。
- 身体以外の苦痛にも目を向ける不安や家族の心配、仕事のことなど、話の中に出てくる気がかりを聞き逃さない。
- チームで共有する苦痛の変化やケアの効果を、医師や緩和ケアチームと共有する。
- 自分の気持ちも大切にするつらい場面のあとは振り返りの時間を持ち、必要なら同僚や上司に相談する。
緩和ケアや看取りに関わる中で心が疲れたときは、看護師の心が楽になる本も参考にしてください。
緩和ケアの本に関するよくある質問
緩和ケアの勉強は何から始めればいい?
一般病棟でも緩和ケアの本は必要?
緩和ケアの薬は看護師も覚えるべき?
家族に看取りの時期の変化をどう伝えればいい?
緩和ケアを専門的に学ぶ方法はある?
患者さんに「もう死にたい」と言われたらどうすればいい?
- 緩和ケアは終末期だけでなく、病気の早い段階から、がん以外の疾患にも必要なケア
- 苦痛は身体・精神・社会・スピリチュアルの4つの側面からとらえる
- 新人や一般病棟の看護師は、入門書と実用書で基本的な緩和ケアを学ぶ
- 薬・コミュニケーション・看取りなど、悩みに合わせてテーマ別の本で深める
- 薬の使用は医師の指示に従い、つらいときはチームで支え合う