看護師が起業・独立する方法|事業例と始める前の注意点

「看護師の経験を活かして、自分で事業を始めたい」「看護師でも開業や独立はできるの?」——病院で働く以外にも、看護師が自分で事業を立ち上げる道はあります。ただし、看護師の仕事には法律で決められた範囲があり、事業によっては許認可や人員の基準を満たす必要があります。この記事では看護師が起業・独立するときの事業の例、準備の流れ、始める前に確認したい注意点をまとめました。
- 看護師が起業・独立する主な事業の例
- 訪問看護ステーションを開設するときの基本的な基準
- 起業までの準備の流れ
- 看護師ができる業務の範囲など、法律面の注意点
- 起業に向いている人と、いきなり独立しない選択肢
ゆい起業は「看護の力」と「経営の力」の両方が必要。まずはどんな形があるのかを知って、自分に合う始め方を考えてみよう。
看護師が起業・独立する主な事業の例
| 事業の例 | 主な内容 | 始めるときのポイント |
|---|---|---|
| 訪問看護ステーションの開設 | 介護保険・医療保険の訪問看護を提供する | 法人の設立、人員・設備の基準、指定の申請が必要 |
| 保険外(自費)の看護サービス | 外出の付き添い、旅行時の同行、保険の範囲外の見守りなど | 医療行為を行う場合の医師の指示など、業務の範囲に注意 |
| 健康相談・セミナー講師 | 企業や地域での健康講座、研修の講師 | 専門分野や実績をつくり、依頼につなげる |
| 医療・看護分野の執筆や監修 | 記事の執筆、教材づくり、内容の確認 | 正確な情報と出典の確認が特に重要 |
| 看護師向けの教育・キャリア支援 | 学習サービス、キャリア相談、研修の企画 | 人材紹介を行う場合は許可が必要 |
| 医療・介護分野のコンサルティング | 業務改善、教育体制づくり、開設支援など | 現場経験に加えて、経営や制度の知識が求められる |
訪問看護ステーションを開設するときの基本的な基準
看護師の起業で代表的なのが、訪問看護ステーションの開設です。介護保険の訪問看護を行うには、都道府県などから事業所の指定を受ける必要があります。国の基準などで、主に次のような点が定められています。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 申請者 | 介護保険法では、申請者が「都道府県の条例で定める者」であることが指定の条件とされており、一般的に法人であることが求められる |
| 看護職員の人数 | 保健師・看護師・准看護師を常勤換算で2.5人以上。そのうち1人は常勤 |
| 管理者 | 常勤で専らその職務に従事する管理者を置く(管理上支障がない場合は兼務可)。管理者は保健師または看護師(やむを得ない理由がある場合を除く) |
| 設備 | 事業の運営に必要な広さの専用の事務室(または区画)と、必要な設備・備品 |
出典:介護保険法第70条、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第60条・第61条・第62条。実際の基準は都道府県などの条例で定められているため、開設予定地の自治体の案内を必ず確認してください。
起業までの準備の流れ
- 実務経験と専門性を積む起業したい分野での臨床経験や、管理者・リーダーの経験を積みます。訪問看護ステーションを開きたい場合は、訪問看護の現場と運営を知っておくことが大切です。
- 事業の内容とターゲットを決める誰に、どんなサービスを、どう届けるのかを決めます。地域にどんなニーズがあるか、競合となる事業所があるかも調べます。
- 事業計画と資金計画を立てる開業にかかる費用、運転資金、収入の見込み、黒字化までの期間を計画します。
- 必要な許認可・手続きを確認する法人の設立、事業の指定や許可、税務署への届出など、必要な手続きを自治体や専門家に確認します。
- 人材と連携先を確保する一緒に働くスタッフ、主治医、ケアマネジャー、地域の医療機関など、事業を支える人とのつながりをつくります。
- 小さく始めて改善するいきなり大きく始めず、反応を見ながらサービスを改善していきます。
ゆい自治体の創業相談や商工会議所など、起業を相談できる公的な窓口もあるよ。一人で抱え込まずに、専門家の力も借りようね。
始める前に確認したい法律面の注意点
看護師ができる業務の範囲
保健師助産師看護師法では、看護師の業務は「療養上の世話」と「診療の補助」とされています。また、主治の医師などの指示がなければ、医薬品を与えるなど衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないと定められています(臨時応急の手当などを除く)。
そのため、自分で事業を行う場合でも、医師の指示が必要な医療行為を、看護師の判断だけで行うことはできません。保険外のサービスで医療的なケアを提供する場合は、医師との連携の方法をあらかじめ確認しましょう。
広告や情報発信のルール
医療や健康に関するサービスの広告や情報発信には、誇大な表現や誤解を招く表現を規制するルールがあります。「必ず治る」「絶対に効果がある」などの表現は避け、正確な情報を発信しましょう。
契約と責任
利用者さんとの契約内容、事故が起きたときの責任、個人情報の管理など、事業として必要な備えがあります。賠償責任保険への加入や、契約書の整備も検討しましょう。
看護師の起業に向いている人
- 「こんなサービスがあれば患者さんや地域が助かる」という具体的なアイデアがある
- 看護だけでなく、お金や数字の管理にも向き合える
- 人を集め、チームをつくることに関心がある
- うまくいかないときも、改善を続けられる
- わからないことを専門家に相談しながら進められる
いきなり独立しない選択肢もある
起業にはリスクもあります。いきなり仕事を辞めて独立するのではなく、次のような方法で準備を進める人もいます。
- 勤務しながら副業として小さく始める:就業規則で副業が認められているか確認したうえで、講師や執筆などから始める。
- 訪問看護ステーションの管理者を経験する:運営・採用・請求など、開設に必要な知識を実務で身につける。
- 開設を支援する法人やフランチャイズの仕組みを調べる:支援を受けながら開設する方法もある。ただし契約内容はよく確認する。
看護師の起業・独立に関するよくある質問
看護師1人で訪問看護ステーションを開業できますか?
看護師が起業するのに、何年くらいの経験が必要ですか?
看護師の起業で失敗しやすいのはどんなケースですか?
看護師の資格だけで保険外の訪問サービスはできますか?
- 看護師の起業には、訪問看護ステーション、保険外の看護サービス、講師・執筆、キャリア支援などの形がある
- 訪問看護ステーションの開設には、法人であること(条例による)、看護職員の常勤換算2.5人以上、管理者の配置などの基準がある
- 起業までは、経験を積む→事業内容を決める→事業・資金計画→許認可の確認→人材と連携先の確保、の順で準備する
- 看護師ができる業務の範囲、人材紹介や派遣の許可、広告のルールなど法律面の確認が欠かせない
- 副業や管理者経験など、いきなり独立しない準備の方法もある
看護師の経験は、新しいサービスを生み出す大きな力になります。しっかり準備をして、自分らしい形で挑戦してください。
参考:介護保険法/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準。この記事は一般的な情報です。個別の事業の判断は、自治体や専門家にご確認ください。