看護職のウェルビーイングとは?意味と職場でできる取り組み

「最近よく聞く『看護職のウェルビーイング』って、どういう意味?」「研修や目標管理で出てきたけど、具体的に何をすればいいの?」——ウェルビーイングは、看護の分野でも使われることが増えている言葉です。この記事では看護職のウェルビーイングの意味を、日本看護協会の「看護職の倫理綱領」をもとにわかりやすく整理し、看護師個人と職場でできる取り組みをまとめました。
- ウェルビーイングの意味
- 「看護職の倫理綱領」でのウェルビーイングの位置づけ
- 看護職にとってウェルビーイングが大切な理由
- 看護師個人でできること・職場でできる取り組み
- 目標管理や面接で使うときのポイント
ゆいウェルビーイングは「自分を大事にするのはわがまま」じゃなく、「いい看護を続けるための土台」っていう考え方なの。
ウェルビーイングとは
ウェルビーイング(well-being)は、身体的・精神的・社会的に良好な状態を表す言葉です。1948年に出された世界保健機関(WHO)憲章では、健康を「病気ではないとか、弱っていないということではなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態(well-being)」と表現しています。
つまりウェルビーイングは、病気でないことだけでなく、心も体も、人とのつながりや生活も含めて満たされている状態を指す考え方です。
「看護職の倫理綱領」でのウェルビーイング
日本看護協会の「看護職の倫理綱領」では、本文の12番目に次のように書かれています。
そのうえで、解説として次のような考え方が示されています。
- 看護職がより質の高い看護を提供するためには、自らのウェルビーイングをまもることが不可欠である
- 看護職が健康で幸福であることが、よりよい看護の提供につながり、看護の対象となる人々の健康と幸福にも良い結果をもたらす
- 看護職は、ウェルビーイングの向上のために、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をとることやメンタルヘルスケアに努める
また、倫理綱領では、ウェルビーイングを「身体的、精神的、社会的に良好な状態」と意訳し、一語の日本語に訳すのが難しいことなどから、カタカナで表記しているとされています。
出典:日本看護協会「看護職の倫理綱領」。本文と解説の内容を、編集部で要約しています。
看護職にとってウェルビーイングが大切な理由
理由① 看護師が疲れ切っていると、看護の質が下がりやすい
睡眠不足や強いストレスが続くと、集中力や判断力が落ち、ミスや見落としにつながりやすくなります。自分の心身を整えることは、患者さんの安全を守ることにもつながります。
理由② 看護は心と体の両方を使う仕事
夜勤や立ち仕事による身体の負担に加え、患者さんや家族の気持ちに寄り添う感情の負担も大きい仕事です。意識してケアしないと、疲れがたまりやすくなります。
理由③ 長く働き続けるための土台になる
看護師が体調を崩して辞めてしまうと、本人のキャリアだけでなく、職場の人手不足にも影響します。一人ひとりが無理なく働き続けられることは、職場全体にとっても大切です。
理由④ 「自分を後回しにする」習慣を見直すきっかけになる
看護師は、患者さんを優先するあまり、自分の休憩や体調を後回しにしがちです。ウェルビーイングの考え方は、「自分を大切にすることも看護職の役割の一つ」と捉え直すきっかけになります。
ゆい休憩をちゃんと取る、有給を使う——それは「さぼり」じゃなくて、倫理綱領にもつながる大切な行動なんだよ。
看護師個人でできること
身体の面
- 夜勤明けや連勤のあとは、予定を詰め込まずに睡眠を優先する
- 勤務中も、できるだけ水分補給と休憩の時間を確保する
- 健康診断の結果を確認し、気になる点は早めに受診する
心の面
- つらい出来事があった日は、同僚や家族に話して気持ちを外に出す
- 仕事とプライベートを切り替える習慣(着替える、音楽を聴くなど)をつくる
- 眠れない、気分の落ち込みが続くときは、一人で抱えずに相談・受診する
社会的な面(つながり・生活)
- 職場以外の友人や趣味の時間を持つ
- 有給休暇を計画的に使い、家族や自分のための時間をつくる
- 学びたいことやキャリアの目標を持ち、仕事にやりがいを感じられるようにする
職場でできる取り組み
ウェルビーイングは、個人の努力だけで高められるものではありません。職場の仕組みや風土も大きく関わります。
| 取り組み | 具体例 |
|---|---|
| 休みの取りやすさ | 有給休暇の計画的な取得、連休の希望を出しやすいシフトづくり |
| 業務量の調整 | 残業を減らすための業務の見直し、記録の効率化、タスク・シフトの活用 |
| 夜勤の負担軽減 | 夜勤回数の配慮、仮眠時間の確保、勤務間の休息時間の確保 |
| 相談しやすい環境 | 産業医や相談窓口の周知、師長との面談、つらい出来事の振り返りの場 |
| 安全な職場づくり | 暴言・暴力やハラスメントへの対策、腰痛予防の取り組み |
| 成長の支援 | 研修参加の支援、キャリアの希望を聞く面談 |
日本看護協会では、看護職が健康で安全に働ける職場を「ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)」として、職場づくりの考え方や資料を公開しています。職場で取り組みを考えるときの参考になります。
目標管理や面接でウェルビーイングを使うときのポイント
目標管理シートに書く場合
「ウェルビーイングを高める」だけでは抽象的です。具体的な行動と、確認できる基準を入れて書きましょう。
面接で使う場合
志望動機や「大切にしていること」を聞かれたときに使う場合は、自分のためだけでなく、看護の質につなげて伝えるのがポイントです。
看護職のウェルビーイングに関するよくある質問
ウェルビーイングとワーク・ライフ・バランスの違いは?
忙しい職場で、個人がウェルビーイングを高めるのは無理では?
看護学生のレポートでウェルビーイングを書くときの注意点は?
ウェルビーイングが低い状態のサインはありますか?
- ウェルビーイングは、身体的・精神的・社会的に良好な状態を表す言葉
- 「看護職の倫理綱領」では、質の高い看護を行うために看護職自身のウェルビーイングの向上に努めることが示されている
- 看護師が健康であることは、患者さんの安全と看護の質、長く働き続けることにつながる
- 個人では睡眠・休憩・気持ちの切り替え・つながりを大切にし、職場では休みや業務量、相談体制を整える
- 目標管理や面接で使うときは、具体的な行動と看護の質へのつながりを示す
自分を大切にすることは、患者さんを大切にすることにもつながります。できることから、少しずつ取り入れてみてください。