看護師の申し送り・サマリーの書き方と例文|ISBARで簡潔に

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「申し送りが長い」「サマリーに何を書けばいいか分からない」「大事なことを伝え忘れてヒヤッとした」——申し送りと看護サマリーは、多くの看護師が一度はつまずくポイントです。この記事では、ISBAR(アイエスバー)という5つの型を使って、誰でも簡潔に・抜けなく伝えられるようになる書き方を、場面別の例文つきでまるごと解説します。今日の勤務からそのまま使えるテンプレートを持ち帰ってくださいね。

この記事でわかること
  • 申し送りと看護サマリーの違い・目的が整理できる
  • ISBARの5つの型と、それぞれに何を入れるかがわかる
  • 夜勤→日勤・急変報告・術後・転棟など場面別の申し送り例文
  • 退院・転院・施設入所の看護サマリー例文
  • 「長い・伝わらない」を卒業する簡潔化のコツとNG改善例
佐倉ゆいゆい先輩

申し送りって、慣れるまで本当にドキドキするよね。でも大丈夫。「型」に沿って言葉を当てはめるだけで、驚くほど伝わりやすくなるよ。一緒に練習していこうね。

目次

申し送り・看護サマリーとは?まずは目的と違いを整理

どちらも「患者さんの情報を、次にケアする人へ引き継ぐ」ためのものですが、伝える相手・タイミング・形式が違います。まずはここを押さえておくと、書く内容の取捨選択がぐっとラクになります。

申し送りとは(口頭・その場の引き継ぎ)

申し送りは、勤務交代や患者移動のときに、口頭やメモで行うリアルタイムの引き継ぎです。夜勤から日勤、日勤から夜勤、外来から病棟、病棟から手術室など、「今この瞬間の状態と、次の勤務で気をつけてほしいこと」を短時間で伝えます。ポイントは「今の状態」と「これから起こりそうなこと」に絞ること。カルテを読めば分かる情報を全部読み上げる必要はありません。

看護サマリーとは(文書・まとまった要約)

看護サマリーは、入院から現在までの経過を要約した文書です。退院・転院・転棟・施設入所など、「ケアの場所が変わるとき」に、次の担当者が患者さんを理解するための最初の情報源になります。申し送りが「点(今)」なら、サマリーは「線(入院期間全体)」。読み手はまだ患者さんを知らない前提で、経過・現状・継続してほしいケアを一枚で伝えるのが役割です。

申し送りと看護サマリーの違い早見表

項目申し送り看護サマリー
形式口頭・メモ(リアルタイム)文書(記録として残る)
タイミング勤務交代・患者移動時退院・転院・転棟・施設入所時
伝える相手同じ職場のスタッフ他病棟・他施設など、患者を知らない人
情報の範囲「今」と「次の勤務での注意点」入院〜現在までの経過全体
意識するコツ短く・要点だけ初見でも分かる網羅性+要約
ポイント:共通するのは「相手が次に何をすべきか」申し送りもサマリーも、ゴールは同じ。「読んだ人・聞いた人が、迷わず次の行動に移れる」ことです。この視点があると、入れる情報・削る情報の判断がブレなくなります。

なぜ申し送りは「長くなる・伝わらない」のか

申し送りが苦手な人の多くは、能力の問題ではなく情報を並べる順番が決まっていないだけです。思いついた順に話すと、聞き手は「で、結局いちばん大事なことは?」と混乱します。また「言い忘れたら怖い」という不安から、あれもこれも詰め込んでしまい、結果として長く・要点がぼやけた申し送りになりがちです。

逆に言えば、伝える順番のテンプレートを1つ持っておくだけで、この問題はほぼ解決します。それが次に紹介するISBARです。

佐倉ゆいゆい先輩

私も1年目のころ、緊張して情報を時系列で全部話しちゃって「長い!要点は?」って言われたなあ。順番のテンプレを覚えてからは本当にラクになったよ。

ISBARとは?申し送りが激変する5つの型

ISBAR(アイエスバー)は、医療現場で世界的に使われている情報伝達のフレームワークです。もともとはSBARという4項目で、そこに患者確認のI(Identify)を加えたものがISBARです。次の順番で話す・書くだけで、抜けなく・簡潔に伝わります。

頭文字意味入れる内容
IIdentify/Introduction(確認・導入)自分と相手の名乗り、患者氏名・病棟・部屋番号
SSituation(状況)今、何が起きているか。いちばん伝えたい要点
BBackground(背景)診断名・入院経過・関連する既往やこれまでの経過
AAssessment(評価)バイタル・観察所見と、自分の考え・アセスメント
RRecommendation(提案・依頼)相手にしてほしいこと・次の勤務での注意点

I=Identify/Introduction(確認・導入)

誰の話なのかを最初に明確にします。医師への電話報告なら「〇〇病棟の看護師の佐倉です」と名乗り、「△△号室の□□さんの件です」と患者を特定します。ここが曖昧だと、以降の情報がすべて宙に浮いてしまいます。

S=Situation(状況)

いちばん伝えたい結論を最初に置きます。「38.5度の発熱があります」「食後から胸痛の訴えがあります」など、今起きていることを一文で。ここで聞き手は「何の話か」を把握できます。

B=Background(背景)

状況を理解するために必要な経過を、簡潔に補足します。「3日前に肺炎で入院、抗菌薬投与中です」「心筋梗塞の既往があります」など。関連する情報だけを選ぶのがコツで、無関係な既往まで全部言う必要はありません。

A=Assessment(評価)

バイタルサインや観察所見と、それに対する自分の判断を添えます。「血圧90/50、脈拍110、冷汗あり。ショックの可能性を考えています」のように。「自分はこう考えている」を言葉にすることが、チームの判断を早めます。

R=Recommendation(提案・依頼)

相手にしてほしいことを具体的に伝えます。医師へなら「診察をお願いできますか」「点滴の指示をいただけますか」。次勤務者へなら「1時間ごとに血圧測定を続けてください」など。次の行動が明確になる一言で締めます。

ポイント:ISBARは順番を守るだけでいい覚えることは「I→S→B→A→R」の順番だけ。この流れに情報を当てはめれば、緊張していても要点が抜けません。慣れるまではメモに5文字を書いておくのがおすすめです。

【例文】ISBARで書く申し送り(場面別)

ここからは、実際の申し送りをISBARに沿って例文化します。そのまま口に出して練習できるよう、自然な話し言葉にしています。患者名・数値はすべて架空です。

例文1:夜勤→日勤の申し送り

場面:肺炎で入院中の患者を日勤へ引き継ぐ

I:305号室の田中さん、82歳男性です。
S:夜間は落ち着いていましたが、明け方に37.8度の発熱がありました。
B:3日前に誤嚥性肺炎で入院、抗菌薬を点滴中です。もともと嚥下機能が低下しています。
A:現在バイタルは安定、SpO2は室内気で95%。解熱は様子見でと当直医から指示が出ています。痰がやや増えている印象です。
R:日中も発熱が続くようなら再度ドクターコールをお願いします。食事は嚥下状態を見ながらで、むせが強ければ中止して報告してください。

例文2:急変・状態変化の報告(医師への電話)

場面:術後患者の血圧低下を当直医に報告

I:外科病棟の看護師、佐倉です。410号室の山本さん、68歳女性の件でお電話しました。
S:血圧が80/48まで低下し、冷汗が出ています。
B:本日午前に胃切除術後で、術後3時間が経過したところです。
A:脈拍は115、SpO2 96%、意識は清明ですが顔色不良です。術後出血の可能性を考えています。
R:すぐに診察をお願いできますか。ドレーンの性状も確認いただきたいです。

佐倉ゆいゆい先輩

医師への報告こそISBARの出番だよ。「結論(S)」を先に言ってから背景を足すと、先生も状況をすぐ掴んでくれるから、対応が早くなるの。

例文3:手術後(帰室時)の申し送り

場面:手術室から病棟へ患者を戻す

I:手術室から帰室の佐藤さん、55歳男性です。
S:腹腔鏡下胆嚢摘出術が終了し、バイタル安定して帰室しました。
B:全身麻酔で手術時間は約90分、出血は少量です。
A:覚醒良好、疼痛はNRS3程度。創部・ドレーンからの出血なし、尿量も確保できています。
R:術後の疼痛時指示は〇〇が出ています。バイタルは帰室後30分ごと、離床は明日の朝からの予定です。悪心が出たら制吐薬の指示があります。

例文4:転棟の申し送り

場面:ICUから一般病棟へ転棟

I:ICUから転棟の鈴木さん、74歳女性です。
S:全身状態が安定し、本日一般病棟へ転棟となりました。
B:1週間前に心不全の急性増悪で入院、ICUで管理していました。
A:現在は酸素1L投与でSpO2 97%、浮腫は軽減傾向。体重は毎日測定しています。
R:水分・塩分制限が継続です。体重増加や息切れが出たら早めに報告をお願いします。内服は自己管理に移行できるか、今後評価予定です。

【例文】看護サマリーの書き方(退院・転院・施設)

看護サマリーも、基本の骨格はISBARに近い考え方で組み立てられます。「患者基本情報→入院経過→現在の状態→継続してほしいケア」の流れです。読み手はまだ患者さんを知らない前提で書きましょう。より詳しい退院・転棟・施設別の書き分けは、看護サマリーの書き方の記事もあわせてどうぞ。

看護サマリーの基本項目

  • 患者基本情報(氏名・年齢・性別・診断名・入院日)
  • 入院までの経過・主訴
  • 入院中の経過と実施したケア
  • 現在の状態(ADL・認知・皮膚・排泄・食事・服薬)
  • 継続してほしいケア・観察点・注意事項
  • 本人・家族の意向、キーパーソン

例文5:退院サマリー(自宅退院)

場面:肺炎で入院し自宅退院する高齢者

田中花子様、80歳女性。誤嚥性肺炎にて〇月〇日入院。抗菌薬治療により炎症所見は改善し、〇月〇日自宅退院となる。入院中は嚥下機能低下に対し言語聴覚士による評価を実施、とろみ食で経過良好。現在ADLは室内伝い歩きレベル、食事はとろみ付きで自立。継続点として、食事は必ず座位で・むせ込み時は無理をしないことをご家族へ指導済み。内服は一包化し、同居の長女が管理。次回外来は〇月〇日。誤嚥兆候(発熱・痰の増加)出現時は早期受診をご家族へ説明済み。

例文6:転院サマリー(回復期リハビリ病院へ)

場面:脳梗塞後、回復期リハビリ病院へ転院

山本一郎様、70歳男性。脳梗塞(右片麻痺)にて〇月〇日入院。急性期治療を経て全身状態安定、リハビリ目的で〇月〇日回復期リハビリ病院へ転院。現在、左上下肢の筋力は保たれるが右片麻痺あり、移乗は一部介助、車椅子移動が中心。嚥下は問題なく常食摂取可能。排泄はトイレへ一部介助で誘導、夜間はポータブルトイレ使用。皮膚トラブルなし。本人はリハビリ意欲高く、自宅復帰を強く希望。妻がキーパーソン。抗凝固薬内服中のため、出血兆候の観察を継続願います。

例文7:施設入所サマリー(特養・老健へ)

場面:入院を経て介護施設へ入所

鈴木トメ様、88歳女性。心不全の急性増悪にて〇月〇日入院。加療により症状は安定し、自宅での介護が困難なため〇月〇日介護老人保健施設へ入所。現在、内服にて心不全コントロール良好。ADLは食事一部介助、移乗全介助、認知機能の低下(見当識障害)あり。水分・塩分制限を継続、毎朝の体重測定と下肢浮腫の観察をお願いします。皮膚は仙骨部に発赤の既往あり、体位変換とスキンケアを継続中。キーパーソンは長男。急変時の対応方針は家族・主治医間で確認済み。

注意:個人情報と事実の正確性サマリーは正式な記録として残り、他施設へ渡ります。日付・数値・診断名は必ず事実を確認し、推測で書かないこと。また、患者・家族が読む可能性も念頭に、断定的すぎる表現や主観的な評価は避けましょう。

申し送り・サマリーを「簡潔に」する5つのコツ

  • 結論から話す(Sを先に)「何が起きているか」を最初の一文で。背景説明から入らないだけで、伝わり方が大きく変わります。
  • カルテで分かることは省く読めば分かる基本情報の読み上げは不要。「変化した点」と「次に注意すべき点」に絞ります。
  • 数値と事実を優先し、主観は最後に「なんとなく元気がない」より「食事摂取が5割、いつもより発語が少ない」。事実を先に、解釈は「〜と考えます」で添えます。
  • 相手の次の行動で締める(R)「〜をお願いします」「〜に注意してください」で終えると、聞き手が動きやすくなります。
  • 事前にメモをISBAR順に並べる申し送り前の1分で、メモをI→S→B→A→Rに並べ替えるだけで、本番の言葉が整理されます。

よくあるNG申し送りと改善例

NG例改善例(ISBAR)
「えっと、田中さんは朝ごはん食べて、そのあと熱測って…あ、点滴もして…」(時系列に全部)「田中さん、明け方に37.8度の発熱です(S)。誤嚥性肺炎で治療中(B)。バイタルは安定(A)。続くようならドクターコールを(R)」
「なんか元気ない感じでした」(主観のみ)「食事摂取5割、発語が少なく傾眠傾向です(事実)。全身状態の変化を疑い、経過観察が必要と考えます(評価)」
「特に変わりないです」(情報ゼロ)「大きな変化はありませんが、夜間2回の排尿で睡眠がやや浅め。日中の傾眠に注意を(R)」
佐倉ゆいゆい先輩

「特に変わりないです」って言いたくなる日もあるよね。でも“変わりないこと”も立派な情報。何を観察して問題なかったのか、を一言添えると信頼される申し送りになるよ。

申し送りのプレッシャーがつらい…そんな時は働き方も見直せる

ISBARで型を身につければ申し送りはぐっとラクになります。それでも、人手不足で申し送り時間が確保できない、急変対応に追われて記録が回らないといった環境そのものがつらい場合もあります。それはあなたの力不足ではなく、職場の体制の問題であることも少なくありません。

もし「今の職場では丁寧な引き継ぎが難しい」「もっと落ち着いてケアや記録に向き合いたい」と感じているなら、申し送りや業務の負担が比較的軽い職場——たとえば外来、クリニック、訪問看護、施設などへ視野を広げてみるのも一つの選択肢です。看護師専門の転職エージェントなら、現場の忙しさや申し送り体制まで含めて職場のリアルを教えてくれるので、ミスマッチを防ぎやすくなります。今すぐ辞めなくても、情報収集だけしておくと気持ちに余裕が生まれますよ。

よくある質問(FAQ)

ISBARとSBARは何が違うの?
SBARはSituation・Background・Assessment・Recommendationの4項目。そこに患者確認・導入のI(Identify/Introduction)を加えたものがISBARです。特に電話報告など「誰の話か」を明確にしたい場面でIが役立ちます。中身の考え方は同じなので、まずはSBARの4項目から慣れるのもOKです。
申し送りはどのくらいの長さが理想?
患者一人あたり、目安は30秒〜1分程度。ISBARで「変化した点」と「次の注意点」に絞れば、この時間内に十分おさまります。長くなるのは、カルテで分かる情報まで話しているサインです。
新人でうまく話せません。コツはありますか?
まずはメモにI・S・B・A・Rの5文字を書き、その横に一言ずつ埋めてから話しましょう。話す前に順番が見えているだけで緊張が和らぎます。最初は完璧を目指さず、「S(結論)を最初に言う」だけでも十分に伝わりやすくなります。
看護サマリーが長くなりすぎます。どう削ればいい?
「次の担当者が、次に何をすべきか」に関係する情報かどうかで取捨選択します。入院中の細かな経過をすべて時系列で書くのではなく、結果として今どうなっているか(現状)と、継続してほしいケアに重点を置くと、簡潔で実用的なサマリーになります。
電話で医師に報告するとき、緊張して要点が飛びます。
電話をかける前に、ISBAR順のメモを手元に用意しておきましょう。特に「S(今いちばん伝えたいこと)」と「R(してほしいこと)」を先に書いておくと、途中で頭が真っ白になっても立て直せます。
まとめ
  • 申し送りは「今と次の注意点」、看護サマリーは「入院経過全体の要約」。目的は同じで「相手が次に動ける」こと。
  • ISBAR(I確認→S状況→B背景→A評価→R提案)の順番に当てはめるだけで、簡潔・抜けなく伝わる。
  • 結論(S)を先に・カルテで分かることは省く・事実を先に主観は最後に、が簡潔化の要。
  • 場面別の例文をテンプレートにして、今日の勤務から練習してみて。
  • 環境そのものがつらい時は、申し送り負担の軽い職場へ視野を広げるのも選択肢。情報収集だけでも気持ちがラクになる。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。実際の記録様式や運用は各施設の基準に従ってください。

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この記事を書いた人

急性期5年・訪問看護2年の経験から、看護師さんのリアルな悩みに寄り添う情報を発信しています。

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