看護実習の事前学習のやり方|領域別にまとめる内容

「事前学習って、どこまでやればいいの?」「範囲が広すぎて終わらない」「せっかくまとめたのに、実習で使えなかった」——看護実習の前に、事前学習の進め方で悩む看護学生は多いでしょう。
この記事では、看護実習の事前学習のやり方と、領域別にまとめておきたい内容を紹介します。実習中に役立つノートの作り方もあわせてまとめました。
- 事前学習の目的と、始める時期の目安
- 事前学習でまとめる基本の5項目
- 領域別に押さえたい内容
- 実習で使える事前学習ノートの作り方
- 時間が足りないときの優先順位
ゆい事前学習は「全部覚える」ためのものじゃなくて、「実習中にすぐ調べられる状態にしておく」ためのもの。そう考えると、少し気が楽になるよ。
事前学習の目的
事前学習には、主に次の3つの目的があります。
- 受け持ち患者さんを早く理解するよくある疾患の病態や治療を知っておくと、受け持ちが決まってからの情報収集が早くなる。
- 安全に援助を行う看護技術の手順や注意点を確認し、患者さんに負担をかけない援助につなげる。
- 実習中の記録の負担を減らす事前にまとめた内容を、アセスメントや関連図、行動計画に活用できる。
事前学習がしっかりしていると、実習中に夜遅くまで調べものをする時間が減り、睡眠時間も確保しやすくなります。
事前学習はいつから始める?
| 時期 | やること |
|---|---|
| 実習の1か月前 | 実習要項を読み、実習病棟の診療科と、よくある疾患を確認する |
| 2〜3週間前 | よくある疾患の病態・検査・治療をまとめる |
| 1〜2週間前 | 看護技術の手順と根拠を確認し、技術練習をする |
| 実習直前 | まとめたノートを見直し、持ち物をそろえる |
| 受け持ちが決まったら | 受け持ち患者さんの疾患に絞って、詳しく調べ直す |
課題として事前学習の提出がある場合は、提出日から逆算して計画を立てましょう。実習の持ち物は看護実習の持ち物リストでまとめています。
事前学習でまとめる基本の5項目
1. 解剖生理
病態を理解するには、まず正常な体のしくみを知ることが大切です。実習病棟に関係する臓器(循環器病棟なら心臓と血管、消化器病棟なら消化管と肝臓など)の解剖生理を、図を使って1ページにまとめると、あとで見返しやすくなります。
2. 疾患の病態
実習病棟でよくみられる疾患について、原因・病態・症状・合併症をまとめます。病態は文章で書くより、「原因→体の中で起きること→症状」の流れを矢印でつなぐと、関連図を書くときにも役立ちます。
3. 検査
よく行われる検査の目的、基準値、異常値が示すもの、検査前後の看護をまとめます。血液検査の基準値は一覧にしておくと、カルテを見るときにすぐ確認できます。
4. 治療と薬
手術、薬物療法、食事療法、リハビリなど、主な治療と看護のポイントをまとめます。よく使われる薬は、作用と主な副作用、観察するポイントを書いておきましょう。
5. 看護技術
実習で行う可能性が高い援助(バイタルサイン測定、清拭、移乗、食事介助、口腔ケアなど)の手順と根拠、注意点を確認します。手順だけでなく「なぜそうするのか」を書いておくと、指導者からの質問にも答えやすくなります。
ゆい疾患のまとめは、教科書の丸写しにならないように気をつけてね。自分の言葉で短くまとめると、頭にも残りやすいよ。
疾患のまとめ方の例(心不全)
疾患のまとめは、毎回同じ見出しで書くと、比べたり探したりしやすくなります。心不全を例に、まとめ方の型を紹介します。
| 見出し | まとめる内容の例 |
|---|---|
| 定義 | 心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を送り出せなくなった状態 |
| 原因 | 虚血性心疾患、高血圧、弁膜症、不整脈など |
| 病態 | 左心不全では肺うっ血、右心不全では体循環のうっ血が起こる |
| 症状 | 息切れ、起座呼吸、夜間の呼吸困難、下肢の浮腫、体重増加、倦怠感 |
| 検査 | 胸部X線(心拡大・肺うっ血)、BNP、心エコー、心電図 |
| 治療 | 利尿薬、血管拡張薬、塩分・水分の制限、安静、心臓リハビリ |
| 看護のポイント | 呼吸状態と浮腫・体重・尿量の観察、安楽な体位、活動と休息のバランス、退院後の自己管理の指導 |
この型で、実習病棟によくある疾患を3〜5つまとめておくと、受け持ちが決まったときにすぐ活用できます。
看護技術の練習のしかた
- 手順書を読んで流れをつかむ教科書や学校の手順書で、準備から片付けまでの流れを確認する。
- 声に出して手順を言う「次は〇〇をします」と声に出すと、手順が頭に入りやすい。患者さんへの声かけの練習にもなる。
- 友達と患者役・看護師役を交代する患者役になると、声かけのタイミングや、寒さ・恥ずかしさへの配慮の大切さに気づける。
- 学校の実習室を使う放課後に実習室を使える学校もある。ベッドや物品を使って練習しておく。
領域別に押さえたい内容
| 領域 | 事前学習で押さえたい内容の例 |
|---|---|
| 基礎看護学 | バイタルサインの正常値、清潔・食事・排泄の援助技術、感染予防、コミュニケーション |
| 成人看護学(急性期) | 手術前後の看護、麻酔の影響、術後合併症(肺合併症・出血・イレウスなど)、疼痛管理、ドレーン管理 |
| 成人看護学(慢性期) | 糖尿病・心不全・慢性腎臓病・COPDなどの病態、食事療法、自己管理の指導 |
| 老年看護学 | 加齢による身体の変化、認知症、転倒予防、誤嚥予防、廃用症候群 |
| 小児看護学 | 成長・発達の段階、年齢別のバイタルサインの正常値、プレパレーション、家族への支援 |
| 母性看護学 | 妊娠・分娩・産褥の経過、新生児の生理、授乳の支援、沐浴 |
| 精神看護学 | 統合失調症・うつ病などの症状、向精神薬の副作用、治療的コミュニケーション |
| 在宅看護論 | 介護保険と医療保険の訪問看護、在宅で使う医療機器、家族の介護負担、多職種連携 |
領域ごとに求められる内容は、実習要項に書かれていることが多いです。実習要項の「事前学習課題」「実習目標」を先に読むと、何を優先すべきかがわかります。
実習で使える事前学習ノートの作り方
- 持ち歩けるサイズにする実習中に確認できるよう、ポケットに入るサイズか、ルーズリーフで必要なページだけ持ち歩けるようにする。
- 1テーマ1ページ疾患や技術ごとにページを分けると、探しやすく、あとから書き足しやすい。
- 見出しをそろえる疾患なら「原因・病態・症状・検査・治療・看護」など、毎回同じ見出しで書く。
- 余白を残す実習中に学んだことを書き足せるよう、余白をつくっておく。
- インデックスをつける付箋やインデックスシールで、すぐに開けるようにする。
時間が足りないときの優先順位
事前学習の範囲は広く、すべてを完璧にまとめるのは難しいものです。時間が足りないときは、次の順番で優先しましょう。
- ①実習要項で指定されている事前学習課題
- ②実習病棟で最も多い疾患の病態と看護
- ③実習で必ず行う看護技術(バイタルサイン測定など)の手順と根拠
- ④よく使われる検査の基準値
- ⑤それ以外の疾患や治療
受け持ちが決まってから、その疾患について深く調べれば十分な部分もあります。「広く浅く」から始めて、受け持ちが決まったら「狭く深く」を意識しましょう。
事前学習を実習中に生かすコツ
- 情報収集のチェックリストにする疾患のまとめの見出しを、カルテで確認する項目のチェックリストとして使う。
- 関連図の下書きにする病態の流れをまとめたページを、関連図の土台として使う。
- 行動計画の根拠にする看護技術のまとめから、援助の注意点と根拠を行動計画に書く。
- 指導者の質問に答える答えに詰まったときに、ノートを確認してから答える。
実習の記録がつらいときは看護実習がつらいときの乗り切り方を、事前学習に使える本は実習記録・看護過程の本おすすめ7選や看護学生におすすめの教科書・参考書ランキングを参考にしてください。
看護実習の事前学習に関するよくある質問
事前学習は手書きとパソコン、どちらがいい?
事前学習が終わらないまま実習が始まりそう
事前学習で教科書を丸写ししてしまう
実習が終わったら事前学習ノートはどうする?
事前学習で指導者に評価される?
友達と分担してもいい?
- 事前学習は「全部覚える」より「実習中にすぐ調べられる状態」をつくるためのもの
- 実習の1か月前から、実習要項・よくある疾患・看護技術の順に進める
- 解剖生理・病態・検査・治療・看護技術の5項目を、1テーマ1ページでまとめる
- 時間が足りないときは、実習要項の課題と、病棟で多い疾患を優先する
- まとめたノートは、情報収集・関連図・行動計画にそのまま生かす