認知症看護のおすすめ本7選|一般病棟での対応に悩んだら

「点滴を何度も抜かれてしまう」「夜になると『家に帰る』と言って落ち着かない」「どう声をかければいいのかわからない」——認知症のある患者さんへの対応は、病棟や施設で働く多くの看護師が悩むテーマです。
高齢化が進み、認知症のある患者さんは診療科を問わず入院するようになりました。この記事では、認知症看護の基本から、アセスメント、コミュニケーション、困った場面への対応、身体拘束予防までを学べる本を7冊紹介します。
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- 認知症看護で看護師が悩みやすい場面
- 認知症看護の本を選ぶ4つのポイント
- 認知症看護のおすすめ本7選と比較表
- 悩み別・立場別の読む順番
- 本で学んだことを病棟で生かすコツ
ゆい認知症のある患者さんの「困った行動」には、その人なりの理由があることが多いよ。本で考え方を知ると、「どうして?」と考える余裕が少しずつ生まれるからね。
認知症看護で看護師が悩みやすい場面
認知症のある患者さんの看護では、次のような場面で悩む看護師が多くいます。自分がどの場面で困っているかを整理すると、選ぶべき本が見えてきます。
| 悩みやすい場面 | 考えられる背景の例 |
|---|---|
| 点滴や酸素のチューブを外してしまう | 違和感や不快感、何のための物かわからない不安 |
| 「家に帰る」と言って歩き回る | 慣れない環境への不安、役割や習慣とのずれ |
| ナースコールを何度も押す | 不安、記憶障害、伝えたいことが伝わらない |
| ケアや治療を拒否する | 状況が理解できない、痛み、羞恥心 |
| 夜間に眠れず落ち着かない | せん妄、昼夜のリズムの乱れ、身体的な苦痛 |
表の背景はあくまで一例です。同じ行動でも、理由は人によって違います。本を読むときは「この行動の理由は何だろう」という視点を持つと、ケアの選択肢が広がります。
認知症看護で押さえたい基本の考え方
パーソン・センタード・ケア
認知症ケアの基本としてよく知られているのが、パーソン・センタード・ケアです。病気や症状ではなく、その人自身を中心に考え、その人の立場に立ってケアを行うという考え方です。多くの認知症看護の本がこの考え方を土台にしています。
せん妄との区別
入院中は、手術や薬、環境の変化などでせん妄が起こりやすくなります。せん妄は認知症と症状が似ている部分がありますが、原因や対応が異なります。急に様子が変わったときは、せん妄の可能性も含めてアセスメントし、医師やチームと共有することが大切です。
身体拘束を最小限にする視点
安全のためにやむをえず身体拘束が検討されることもありますが、身体拘束はせん妄や機能低下につながるおそれがあります。拘束に頼らないケアの工夫を学ぶことは、認知症看護の大切なテーマのひとつです。施設の基準や手続きに沿って、チームで判断しましょう。
家族への支援
入院をきっかけに、家族が認知症の進行や本人の変化に戸惑うことは少なくありません。本人の状態を家族にわかりやすく伝え、退院後の生活を一緒に考えることも看護師の大切な役割です。家族支援について触れている本を選ぶと、説明や相談の場面で役立ちます。
認知症看護の本を選ぶ4つのポイント
1. 自分の職場に合っているか
一般病棟、療養病棟、施設、在宅など、働く場所によって認知症ケアの課題は異なります。急性期の一般病棟で働く人は、入院中によくある場面を扱った本を選ぶと実践しやすくなります。
2. 具体的な場面と対応が書かれているか
理論だけでは、目の前の患者さんにどう関わればよいかわかりにくいものです。事例やQ&A、マンガなどで具体的な場面が描かれている本は、すぐに実践に生かせます。
3. アセスメントの視点があるか
対応方法だけでなく、なぜその行動が起きているのかを考えるためのアセスメントの視点が書かれている本を選ぶと、応用がききます。
4. 読みやすさ
認知症看護は奥が深い分野ですが、最初から専門書を読む必要はありません。図解の多い入門書から始めて、必要に応じて深めていきましょう。
ゆい「この患者さんには何が見えていて、何に困っているのかな」と想像してみるだけでも、関わり方は変わってくるよ。
認知症看護のおすすめ本7選
1. 3ステップ式パーソン・センタード・ケアでよくわかる 認知症看護のきほん
パーソン・センタード・ケアを3ステップ方式で実践する方法を紹介した本です。鼻カニューレを外す、点滴を抜く、ナースコールを押し続ける、「帰る」と言うなど、入院生活でよくある実例に沿って、理由と対応を考え、ケアプランにつなげる流れで解説しています。
認知症のある人本人の声や薬の知識、身体拘束ゼロに取り組んだ病院の事例なども紹介されています。一般病棟で認知症のある患者さんを受け持つ看護師の最初の1冊として選びやすい本です。
よくある場面ごとに「なぜそうするのか」から考える構成なので、病棟のカンファレンスで対応を話し合うときの参考資料としても使えます。
2. 看護の現場ですぐに役立つ 認知症ケアのキホン
新人ナースに向けて、認知症のメカニズムとケアのポイントをわかりやすく解説した本です。認知症のある人との日ごろの接し方、行動への対処、家族の支え方などを、経験の浅い人でも理解できるようにまとめています。
ページ数が少なめで、短時間で全体像をつかめます。「認知症の人とどう接していいかわからない」という戸惑いがある人は、まずこの本で基本を押さえてから、ほかの本に進むとよいでしょう。
同じシリーズでは、緩和ケアや急変対応などのテーマも刊行されています。図や表を使って要点がまとめられているため、勤務前の短い時間に読み返すのにも向いています。
3. 看護師のための 認知症のある患者さんのアセスメントとケア
アセスメント、検査や診察時、入院時、家族への対応まで、看護師の悩みと解決策をマンガを交えて紹介した本です。多職種連携のコツや、病院の状況に合わせた認知症ケアチームのつくり方にも触れています。アセスメントのチェックリストなどのダウンロードサービスもあります。
患者さんや家族の気持ちが伝わるよう工夫されているため、対応の「理由」を理解しながら学びたい人に向いています。認知症ケアチームの活動に関わる人にも参考になります。ダウンロードサービスの内容や提供期間は、購入前に確認してください。
4. 看護にいかす 認知症の人とのコミュニケーション
臨床ですぐに実践できる認知症のある人とのコミュニケーション方法を、イラストを多用して具体的に解説した本です。基盤となる理論や科学的根拠に加え、コミュニケーションの10の原則、場面別の対応法、看護師自身のストレスマネジメントまで扱っています。
認知症のある人とのやり取りで疲れを感じている看護師にとって、自分自身のストレスへの向き合い方まで学べるのは心強いポイントです。声のかけ方や説明のしかたに迷う人に向いています。
場面別に心構えと対応法がまとめられているため、入浴や食事、検査の説明など、具体的なケアの前に該当するページを確認しておくと、落ち着いて関われるようになります。
5. 一般病棟の認知症患者「こんなときどうする?」
不穏、治療拒否、徘徊、夜間不眠、摂食・嚥下困難、入浴拒否、暴言、言語障害など、一般病棟でよく出会う症状への具体的な対応策を、原因になりそうな3つの要素別に紹介した本です。
症状別に整理されているため、今まさに困っている場面のページを開いて確認する使い方ができます。認知症ケア加算への対応を意識した内容も含まれています。
6. 認知症ケア・対応 もっとスムーズになるQ&A50
病院や施設、在宅でよく見られるケースについて、専門看護師と認定看護師がQ&A形式で解決に向けたアドバイスを解説した本です。誰もが認知症ケアをスムーズにできるようになるための知識や工夫を紹介しています。
比較的新しい本で、病院だけでなく施設や在宅での認知症ケアにも対応しています。ケアに根拠と自信を持ちたい人や、老人ホームや介護施設で働く看護師にも向いています。施設で働く看護師向けの本は施設で働く看護師におすすめの本でも紹介しています。
7. 認知症plus身体拘束予防
急性期病院で「安全のため」に行われがちな身体拘束を見直し、看護ケアの工夫によってせん妄やBPSD(認知症の行動・心理症状)の発生を抑え、拘束に頼らない看護を実現するための考え方と方法をまとめた本です。
個人のケアだけでなく、組織として拘束に頼らない看護に取り組む視点で書かれています。中堅やリーダー、病棟の取り組みを考える立場の人におすすめです。「認知症plus」シリーズには、がん看護や生活の継続をテーマにした巻もあります。
認知症看護の本の比較早見表
| 書名 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 認知症看護のきほん | 新人〜中堅 | 入院中の実例で3ステップのケア |
| 認知症ケアのキホン | 新人 | 短時間で基本を把握 |
| アセスメントとケア | 新人〜中堅 | マンガでアセスメントと対応 |
| 認知症の人とのコミュニケーション | 新人〜中堅 | 10の原則と場面別の対応 |
| 一般病棟の認知症患者「こんなときどうする?」 | 一般病棟 | 症状別の具体的な対応策 |
| 認知症ケア・対応Q&A50 | 病院・施設・在宅 | 専門看護師・認定看護師のQ&A |
| 認知症plus身体拘束予防 | 中堅・リーダー | 拘束に頼らない看護と組織づくり |
悩み別・立場別の読む順番
認知症ケアの経験が少ない新人
「認知症ケアのキホン」で全体像をつかみ、「認知症看護のきほん」で入院中の具体的な場面を学びましょう。声かけに迷うときは「認知症の人とのコミュニケーション」が役立ちます。
一般病棟で対応に困っている人
「一般病棟の認知症患者『こんなときどうする?』」で症状別の対応を確認し、「アセスメントとケア」で行動の背景を考える視点を身につけましょう。
中堅・リーダー・施設の看護師
「認知症plus身体拘束予防」で組織としての取り組みを、「認知症ケア・対応Q&A50」で幅広い場面への対応を学ぶのがおすすめです。認知症看護をさらに専門的に学びたい人は、認定看護師の19分野一覧で認知症看護の認定看護師についても確認してみてください。
ゆい認知症のある患者さんとの関わりで疲れたときは、ひとりで抱え込まないでね。チームで情報を共有すると、うまくいった関わり方が見つかることも多いよ。
本で学んだことを病棟で生かすコツ
- その人を知る家族から生活歴や習慣、好きなこと、呼ばれ慣れた名前などを聞き、ケアに生かす。
- 行動の理由を考える気になる行動があったら、痛み・排泄・不安・環境など考えられる理由を挙げてみる。
- うまくいった関わりを共有落ち着いた声かけやケアの工夫を記録やカンファレンスで共有し、チームで統一する。
- 家族も支える入院による変化に戸惑う家族に、状態の説明や関わり方のヒントを伝える。
認知症看護の本に関するよくある質問
認知症看護の勉強は何から始めればいい?
一般病棟でも認知症看護の本は役立つ?
認知症とせん妄の違いも本で学べる?
認知症ケア加算について学べる本はある?
認知症のある患者さんの家族への説明に役立つ本は?
施設や在宅で働く看護師にもおすすめの本は?
- 認知症のある患者さんの行動には、その人なりの理由があることが多い
- 新人は入門書とパーソン・センタード・ケアの本で基本の考え方を学ぶ
- 一般病棟で困っている人は、症状別の対応とアセスメントの本が役立つ
- 中堅・リーダーは身体拘束予防など組織としての取り組みを学ぶ
- 急な変化はせん妄や身体疾患の可能性も考え、チームで共有する